学校事務シリーズ~作成中

前回、学校事務シリーズ第1段として時数管理の作成を公開しました。

第2段として、諸費管理を学校事務の生徒さんといっしょに作成中です。

諸費管理とは、学級費や給食費などの学校経営に必要な諸経費を集金して管理することですが、これがけっこう大変です。

まずは、月ごとの管理が必要、その他、ご家庭の事情により、給食費が免除される生徒がいたり、あとは納めない生徒がいたり・・・・・・。

さまざまなパターンを想定した、システム作りが求められます。

今回はまずこんな感じで諸費管理の月別の表を作成するところから始めました。



実際にはもっと種類がありましたが、省略してます。

一番上の基準は一般家庭で、すべての諸費が対象です、その下2つは准用(片親や生活保護の家庭)で、給食費免除のパターン、その下は給食費、PTA会費が免除のパターンです。

この表を使いその生徒ひとりひとりの環境に合わせて使う表のパターンを決め、生徒の入金状況を管理。そして月別の各諸費の集金状況も管理できればと思っています。

今回も時間がかかりそうです。


Excelで諸費管理①~名前の登録・・・・・・へつづく

Excelで学校諸費管理①~名前の登録

学校事務シリーズの第2段として、学校諸費管理を作成中です。

前回は諸費の月別一覧を3パターン程作成したところまででした。



生徒のリストには家庭環境により区分、いわゆる「基準」「準用1」「準用2」のいずれかを設定します。

こんな感じ・・・・・・。(このリストの作成方法は次回以降説明します。)


この区分を入力すると諸費の月別一覧から該当する諸費の金額を表示できるようにします。

これに適している関数は、弊ブログでも解説したOFFSET関数(使える関数~OFFSET関数を参照)です。

OFFSET関数の引数

OFFSET(①基準セル,②行数,③列数,高さ,幅)

①基準セルと②行数、③列数から位置を割り出し、そのセルに入力されている値を返してくれる関数です。(高さ、幅は今回は使用しません。)

諸費の一覧を見れば、表の始まる位置は違っても行数、列数は同じです。つまり同じ大きさの表です。

生徒の区分によりOFFSET関数の引数「①基準セル」を自在に変化させることができれば、どのパターンの表からでも金額を表示できます。



本来この引数「①基準セル」には、セル位置、たとえば「A1」とか「B2」などを指定するのですが、今回は、その基準となるセル位置に名前をつけて管理する方法をとります。これがのちのち大きな役割を果たします。

管理する名前は生徒リストの区分に指定する値と同じにします。

それで作成してみましょう。

まずは諸費一覧の一つ目、基準の表の「基準」と書かれたセルをクリックします。

そして「数式」タブから「名前の定義」をクリックします。

※Office2003は「挿入」メニューから「名前」→「定義」です。



「新しい名前」ダイアログボックスが表示されます。

名前と参照範囲が指定されてます。そのまま「OK」をクリックします。



「準用1」「準用2」の表も同様に操作します。

名前の管理というボタンをクリックするとこのように登録されたことが確認できます。



この名前をOFFSET関数の引数「①基準セル」に適用することで、表を使い分けることができます。

例としてこのように指定すると・・・・・・



=OFFSET(基準,1,1)(※高さ、幅は省略すると1が指定されます。)

「基準」は名前の定義で、参照範囲が「諸費一覧」シートの「A1」と設定されています。

したがって、「A1」から1行目、1列目の「300」という値が表示されます。



数式の「基準」の部分を「準用1」と変更すると、名前の定義で登録した参照範囲「A9」が基準セルとなります。

この方法を使い生徒リストに設定していきます。

Excelで学校諸費管理②~生徒リストの作成・・・・・・・へつづく

Excelで学校諸費管理②~生徒リストの作成

Excelで学校諸費管理①~名前の登録・・・・・からのつづき

前回は、OFFSET関数を使い、諸費月別一覧から区分により使用する表を変化させるため、OFFSET関数の引数(①基準セル,②行数,③列数,高さ,幅)「①基準セル」の部分に登録した「名前」を使用する・・・・・という作業をしました。

今回は、諸費を管理する生徒リストを作成し、実際にOFFSET関数を設定してみたいと思います。

こんな感じで作成してみました。



一番左から生徒番号、氏名と続き、4月から来年3月までの入金実績まで作成します。

シートは学年ごとやクラスごとなどいろんな分け方が想定されます。

注目点は「区分名」フィールドと各諸費の上部の番号です。



「区分名」は、生徒の家庭環境により、使用する諸費一覧を変化させるために使用します。

各諸費の上部の番号ですが、これは、OFFSET関数の引数(①基準セル,②行数,③列数,高さ,幅)の「②行数」の部分に使います。

諸費の一覧を見れば分かりますが、例えば「学級費」はどの表の基準セルからも1行目なので番号が「1」となっています。



これで、いちいち「②行数」部分を数値で指定するのを回避することができます。

ということは、「③列数」も「②行数」と同じ扱いにしたいですよね。

そのために、別シートに処理月を入力するところを作ります。

一応シート名を「メイン」としました。(なんでもいいです。)

このように処理する月を入力する部分と、その月の「月コード」の一覧を作成しました。




月コードの一覧はその月が諸費一覧の何列目にあるかを表したコードです。

「月」を入力するとVKOOKUP関数で隣の一覧から「月コード」を表示するように作成しました。この月コードをOFFSET関数の「③列数」部分に使用することで、数値で指定する手間を回避します。

例えば、4月は各諸費一覧も基準セルから1列目ですね。したがって「月コード」は「1」としています。




リストの「区分名」には区分を簡単に入力できるよう「入力規則」でリストを作成しておきましょう。



こんな感じで入力していきます。まずはすべて「基準」でコピーして、あとでそれ以外を修正するというのが、早いかもしれません。



それでは、一人目の「学級費」の部分にOFFSET関数を設定しましょう。

「=OFFSET(」まで入力します。



一つめの引数は、「①基準セル」です。ここで使うのが、前回登録した「名前」なんです。

「名前の登録」では、各諸費一覧の最初のセル、つまり、OFFSET関数の「①基準セル」となるセル番地を名前を付けて登録し、さらに使い方も解説しました。



その「名前」と「区分名」で入力した値は同じですので(というより、絶対同じにする!)、「区分名」のセルに入力された値が「①基準セル」となれば正しいのですが・・・・・・。

ここで問題なのが、区分が入力されたセルをただ単純にクリックするだけでは、エラーになってしまいます。

どういうことかというと、この「①基準セル」部分に関しては、そのクリックしたセル番地が「基準セル」になってしまうのです。

この問題を回避するには、引数「①基準セル」部分用に登録した名前、「基準」とか「準用1」とかを直接入力するしかありません。・・・・・・でもそれだと、区分を一生懸命入力した意味がないですね。

そこで、指定したセルの入力された値を直接取得してくれるINDIRECT関数を使います。

使い方は簡単で、引数に値を取得したいセルを指定すればいいだけです。

このように入力します。(コピーすることを考えて列番号のみ固定の複合参照にしましょう。)



=OFFSET(INDIRECT($C4)

これで、「区分名」に入力された「基準」という値が直接指定されたことと同じになります。


次は、「②行数」です。これは、各諸費の上部の番号をクリックすればOKです。(コピーすることを考えて、行番号のみ固定の複合参照にしましょう。)



=OFFSET(INDIRECT($C4),D$2

最後に「③列数」です。これは処理月を入力するために作成した「メイン」シートの「月コード」の部分をクリックします。(絶対参照にしましょう。)



=OFFSET(INDIRECT($C4),D$2,メイン!$D$2)

区分セル「C4」に入力された値を基準セルとし、セル「D2」の値を行数、「メイン」シートの「D2」の値を列数とした位置のセルの値を取得するという意味になります。(くどいですね)

図の生徒で解説すると=OFFSET(基準(諸費一覧シートのセル「A1」),1,1)となってるはずです。

出来たらEnterを押します。



諸費一覧の基準セル「基準」(諸費一覧の「A1」)から「学級費」(1行目)で4月(1列目)の金額が表示されました。


他の諸費にもコピーしましょう。



正しく設定されました。※「集金額」にはSUM関数で合計を設定しておきましょう。


ちょっとテスト。

「メイン」シートの処理月を「5」(5月)に変更してみます。



「月コード」は「2」に変更されたので、諸費一覧の2列目「5月」にの金額に変更になりました。

「メイン」シートを4月に戻して・・・・・。

今度は、「区分」を「準用1」に変更してみます。



ちゃんと、「準用1」の表を見にいってますね。

どうやら正しく数式が入力されました。

あとは、生徒全員にこの数式をコピーします。


基準セル部分の登録(名前の登録)、各諸費の行番号、月の列番号(月コード)により、区分を修正するだけで、使用する表を自由に変更できます。

区分で使用する表を変幻自在に操ることができる・・・・・・。いろんなことに応用できそうですね。


今回も長くなってしまいました。最後まで読んでくれてありがとうございます。


次回は、実際の管理方法を考えていきます。

Excelで学校諸費管理③~月ごとの管理・・・・・・へつづく

Excelで学校諸費管理③~月ごとの管理

Excelで学校諸費管理②~生徒リストの作成・・・・・からのつづき

前回は生徒リストを作成し、「区分名」という項目に生徒の生活環境により「区分」を設定し、さらにその区分により使用する諸費一覧表を自在に変更する関数をOFFSET関数により設定しました。

このOFFSET関数を設定するところが、この学校諸費管理の一番重要ポイントです。あとは通常のEXCEL機能ができればOKです。

まずは、設定した関数を全生徒にコピーします。



生徒ごとの集金額と一番下には全生徒の集計を算出しています。あとは、この集計を使い月ごとに管理していくだけです。

生徒リストの各諸費金額の横には月ごとの表を作成しています。



まずは、その月の集金額が実際の集金額と合致したならば、集金額の部分をコピーし、集金月に貼り付けます。(数式が入力されているので「形式を選択して貼り付け」の「値」を選択しましょう。)



その月に集金した金額を格納します。



次に、集金額の詳細を集計するシートを作っておきます。



ここにその月集計した、集金額の詳細を生徒リストの合計欄からコピーし貼り付けます。(数式が入力されているので「形式を選択して貼り付け」の「値」を選択しましょう。)



この2つの作業を月の集金が確定した後に行います。

これで、生徒ごとの区分別の集金額を月ごとに管理、さらにその詳細も管理できます。

コピー&貼り付けの作業は「マクロの記録」で自動化するのも考えたのですが、手作業で十分と考えます。

ただ、学校事務担当の方が、全生徒の管理を行うとなった場合は、作業を効率化するため「マクロの記録」を使うのもいいと思います。(「灯油定期配送管理②~マクロの記録」を参照)


ここまでは、あくまでも基本的な使い方。やはり一筋縄ではいかないのが事務仕事。

次回はいろんなパターン(イレギュラーも含めた)を想定した使い方を考えていきます。

Excelで学校諸費管理④~タイトル未定・・・・・へつづく

Excelで学校諸費管理④~いろいろ

Excelで学校諸費管理③~月ごとの管理・・・・・・からのつづき

学校諸費管理も最後の回です。

前回は、生徒の区分ごとの集金額を月ごとに管理する方法を解説しました。

計算された諸費の合計をコピーし貼り付けるだけの非常に単純な方法でした。

今回は、タイトルに「いろいろ」とありますが、いままで作ったシートの説明と、実際の集金におけるイレギュラー処理をどうするか考えます。

まずは作成したシートです。

メインというシートを作りました。



処理する月を入力します。ここで指定した月は全生徒リストのシートへ影響します。

月コードは、OFFSET関数の引数「列数」で使用するためのコードです。

生徒リストの管理は学年ごとにシートを作成しました。これは学校事務の方が全校生徒を管理することを想定しています。学級担任が自分のクラスのみ管理するのであれば、シートは1つでいいですね。




諸費一覧のシートですが、前回までは1学年の生徒リストを例に解説しました。ただ、実際は各学年ごとに集金する項目や金額が違うと思いますので、この図のように、学年ごとの諸費一覧が必要になるでしょう。



ですので、OFFSET関数の引数「基準セル」に使う「名前」の管理はこのように各学年ごとに必要になります。学年がわかるように名前の前に「Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」と付けました。



月の集金額が確定した後にコピーして貼り付ける諸費の入金明細も学年ごとに作成しておくのがいいです。



ついでに全校トータルの表も作成しておくとなをいいです。


前回までの解説は、集金額を生徒の環境により区分し、その区分名により、諸費一覧から該当する金額を表示し、集計する・・・・・・ということでした。

この諸費一覧はいろんなパターンが作れます。

こんなパターンも想定されますね。



半年、1年払いです。毎月の集金が面倒だという親御さんはこの方法を使うかもしれません。

半年の場合は、4月と10月にのみ金額を入れます。年払いは4月に各諸費の合計を入れておきます。

これでこの「区分名」を使用した生徒は、金額が入力された月以外は納める必要がないので「0」になりますね。

次に想定されるのが、「忘れた」とか、「お金がない」などの事情で納めないというパターンです。

これはどうしてもあります。

「忘れた」の場合はその月を確定するのを少し待ってあげることができますが、今月は無理でも来月から「OK」とう場合は、1か月遅れの諸費一覧を作成しないといけません。



図のように4月分を5月に加算した表を作成しなければなりません。こういう家庭が増えれば、管理は複雑化していきます。こういうご家庭は、5月はよくても10月頃また同じよう理由により納めないなど想定されます。そんなときはその生徒専用の表を作成し対応するしかないです。

こんな場合もあります。

6月までは、「基準」で7月から、親が離婚し、「準用1」になった・・・・・・という場合です。

そんな時は、6月までの納めた内容は「基準」で7月以降「準用1」の金額に修正した表を作成します。



6月までの内容は必要ないのでは?と思う方もいると思いますが、「生徒リスト」はその生徒の納めた、履歴も兼ねていますので、もし何らかの理由により集金額を変更する場合は、集金が終わった月の金額も正確に入力しておきます。

このように追加した表の開始位置はOFFSET関数の「基準セル」用に名前登録しておきましょう。



生徒リストの「区分名」リストにも追加しておきます。



あとは、余談ですが、こんな集金袋を作成したらどうでしょう(WORDで作りました)。



集めたら「確認」にはんこを押して、生徒に返す・・・・・。参考にしてください。

今回は、OFFSET関数を使い自在に使用する表を変化させる・・・・・という部分が一番の重要ポイントです。いろんなことに応用できそうですね。

それから、このようなお金を扱う仕事の場合は、ルールを厳正に決める必要があります。今回解説したイレギュラーパターンが増えれば事務処理は複雑化していきます。一度大目に見るとなし崩しに増えていきます。(私の生徒さんの学校もそうです。)

そうなれば、生徒ごとに諸費一覧の管理が必要になってしまいます。

どうしようもない場合は仕方ないですが、ルールは守るよう徹底するべきと思います。(簡単ではないですが)

次回はまだ未定ですが、お役に立てそうなネタを探しまくります。